全館空調とは

全館空調とは、家のなか全体の空調を一括で管理するシステムのことです。
具体的には、1台の室内機に換気や空気清浄、冷暖房といった機能が備わっており、家全体を24時間体制で快適な室温・湿度に調整します。

全館空調は、住宅だけではなく、ショッピングモールやホテルなどにも設置されています。

注文住宅にあると快適な全館空調のメリット

注文住宅に全館空調を設置することで、さまざまなメリットを得られます。
具体的なメリットの内容を、以下で詳しく紹介します。

メリット①家のなかの温度を均一に保てる

注文住宅に全館空調を設置するメリットは、家のなかの温度を常に均一に保てるという点です。

たとえば、夏場は室温が高く冬場は室温が低くなるため、冷暖房が効いていない部屋に移動することに抵抗がありますよね。
しかし、全館空調を設置していれば部屋ごとの温度差がないため、どこの部屋に移動しても快適に過ごせます。

季節を問わず、家のなかで快適な室温で過ごせるということは、全館空調の大きなメリットです。

メリット②ヒートショックのリスクを減らせる

注文住宅に全館空調を設置すると、ヒートショックのリスクを減らすことができます。
ヒートショックとは、急激な体温の変化により身体がダメージを受けることです。

たとえば、冬場に脱衣所やお風呂場で暖房が効いていないと、体が冷えた状態で浴槽に浸かることになるため、体温が急激に上昇してヒートショックを引き起こすことがあります。
その結果、意識を失うなどの危険な状態になることも考えられるでしょう。

しかし、全館空調を設置している住宅であれば、入浴前と入浴時に大きな体温の変化が生じることがないので、ヒートショックを引き起こすリスクを減らせます。

メリット③熱中症のリスクを軽減できる

熱中症のリスクを軽減できるという点も、注文住宅に全館空調を設置するメリットの1つです。
熱中症と聞くと、屋外で発生するものだと思う方が多いかもしれませんが、実は室内でも起こる可能性があります。

たとえば、夏場は室温や湿度が高いため、冷房が効いていなかったり風通しが悪かったりすることで、室内でも熱中症になることが考えられます。

そこで、全館空調を設置すれば、家のなかを常に快適な室温・湿度に保てるため、熱中症になるという心配がありません。

注文住宅に全館空調をつけるデメリット

全館空調には多くのメリットがありますが、反対にデメリットもあります。
ここからは、注文住宅に全館空調を設置することで生じる3つのデメリットを紹介します。

デメリット①比較的高い初期費用がかかる

注文住宅に全館空調を設置する場合、高い初期費用がかかります。
具体的な金額はメーカーによって異なりますが、設置には約100～300万円ほどかかると考えておきましょう。

高い性能を持つ全館空調を設置する場合は、さらに費用がかかるため、注文住宅の建築にかかる費用を抑えたいという方は、デメリットだと感じるかもしれません。

デメリット②電気代が上がる可能性がある

全館空調は、どの部屋でも快適に過ごせるように、常に快適な室温・湿度を保つシステムであり、24時間稼働しています。
そのため、普段から冷暖房の使用頻度を抑えている住宅と比べると、全館空調を設置している住宅のほうが電気代は高い傾向にあります。

特に、住宅の断熱性や気密性が低い場合は、家のなかを適切な室温・湿度に保つために多くのエネルギーを使うため、その分電気代が上がるということを覚えておきましょう。

デメリット③部屋ごとの温度調節ができない

全館空調は部屋ごとの温度調節ができないため、全部屋同じ温度になります。

たとえば、家族のなかに暑がりの方がいる場合でも、その方の部屋のみ温度を下げるということができません。
そのため、全館空調を設置することで、家族のなかの1人だけ、快適な室温だと感じられないといった場合もあります。

注文住宅に設置できる換気システムの種類

住宅を建築する場合、全館空調の設置の有無にかかわらず、24時間の換気ができるシステムを設置する必要があります。
ここからは、住宅に設置すべき換気システムを3種類紹介します。

種類①第一種換気

第一種換気とは、給気と排気を強制的に換気するシステムのことです。
換気扇などの設備を使用して、給気と排気の換気を行うため、外の環境に影響されることなく、空気の循環をコントロールできるという特徴があります。

また、一般的に、第一種換気は換気と同時に熱交換も行います。
熱交換とは、外の空気と室内の空気の熱を混ぜて、室内の温度を適温にすることです。

たとえば、夏場はエアコンの使用による室内の冷たい空気を利用して、外から入ってくる空気を冷やして、冬場は外の冷たい空気を温めます。

このような熱交換を行うことで、換気した際も室温を一定に保つことができます。

種類②第二種換気

第二種換気は、給気口にのみ換気扇を設置して換気を行う方法です。
排気口に換気扇を設置しないことで、給気は機械で強制的に行われますが、排気は自然に行われます。

強制的に給気することで、室内の気圧が外の気圧よりも高くなるため、ドアを開けた際に外の菌やウイルス、ほこりが家に侵入することを防ぎます。

一方で、自然に排気を行うことで、室内の水蒸気が十分に排気されず、室内に湿気が溜まり結露が発生してしまうという点は、第二種換気のデメリットです。

種類③第三種換気

第三種換気は、排気口のみに換気扇を設置して換気を行います。
第二種換気とは逆に、家のなかに空気を取り込む力よりも家の外に空気を出す力が強くなる点が特徴です。

室内の気圧が低いと空気がスムーズに循環するため、その分湿気が溜まりづらい点は、第三種換気のメリットです。
しかし、室内の気圧が低いことで外の空気と一緒に菌やウイルス、ほこりなどが簡単に入り込んでしまうという点は、デメリットとして挙げられます。

注文住宅の全館空調はどんな方におすすめ？

ここまで紹介してきた全館空調のメリットを踏まえたうえで、全館空調の導入を特におすすめしたい方の特徴を紹介します。
以下で紹介する内容を参考にして、全館空調の導入をぜひ検討してみてください。

特徴①開放的な間取りを検討している方

吹き抜けのあるリビングルームを取り入れたい場合など、開放的な間取りを検討している方には、全館空調の設置がおすすめです。

また、吹き抜けがある住宅で通常のエアコンが設置されている場合、広い範囲に快適な空気が行きわたらず、室温調節が難しい傾向にあります。
しかし、全館空調を設置することで、広い範囲であっても室温を一定に保てます。

特徴②ペットを飼っている方

全館空調は、人間だけではなくペットにとっても快適なシステムです。
たとえば、ペットも人間と同様に熱中症になるリスクがあるため、全館空調で常に室内を快適な温度に保てることで、ペットも快適に過ごせます。

また、ペットを留守番させる機会が多い場合は、冷暖房をつけたまま外出するかどうかを迷うこともあるのではないでしょうか。
全館空調であれば、常に冷暖房の機能が稼働している状態であるため、外出時に迷う必要がありません。

特徴③高齢のご家族と暮らしている方

高齢の方は、特に熱中症やヒートショックを引き起こす可能性が高いといわれています。

しかし、全館空調を設置することで、常に家のなかを快適な温度に保てるため、熱中症になるリスクを軽減できます。
また、部屋ごとに温度が変わるということもなく、血圧の大きな変動が起きにくいので、ヒートショックを引き起こすリスクも軽減できます。

このようなことから、高齢のご家族と暮らしている方、または暮らそうとお考えの方には、全館空調の設置がおすすめです。

注文住宅に全館空調を設置する場合のポイント

注文住宅で全館空調を設置する場合、全館空調の性能の高さも大切ですが、注文住宅自体の断熱性や気密性も過ごしやすい環境をつくるうえで大切なポイントです。

なぜなら、断熱性が低い住宅の場合、外の温度に室内が影響されるため、室内を快適な温度に保てません。
また、せっかく全館空調で家のなか全体を快適な温度にしても、気密性が低ければ室内の暖気や冷気が外に漏れてしまいます。その結果、電気代が高くなってしまう可能性があります。

このような理由から、注文住宅を建築して快適に過ごすためには、断熱性や気密性に優れた注文住宅を建築することがおすすめです。

注文住宅に全館空調を設置することで快適な室温を保てる

いかがでしたでしょうか？

注文住宅に全館空調を設置することで、家のなかの温度を均一に保てるという大きなメリットを得られます。
全館空調にはメリットだけではなく、デメリットもありますが、季節を問わず家のなかで快適な室温で過ごせるため、全館空調の設置を迷っている方にはおすすめです。

また、注文住宅で全館空調を設置するのであれば、高断熱かつ高気密な注文住宅を建築し、全館空調のシステムを最大限に活かしましょう。

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