実を言うと、日本の住環境は世界でも劣悪な国のひとつです。45歳以上の溺死者数はなんと日本が世界でワーストワン。これは浴室の浴室暖房の充実度に関係があります。 ドイツやイタリアなどのヨーロッパ各国では90%以上の家庭で浴室暖房があると言われていますが、日本では30%以下の家庭にしか浴室暖房がないのです。
私が家を建てようと考えた頃は、家の中の温度差をなくすことに注力している住宅メーカーはほとんどありませんでした。私の家は高気密・高断熱にしましたが、 部屋間の温度差はほとんどありません。寒くないのでドアを閉める必要もありません。ようやく最近は、温度差のない高気密・高断熱の家が注目を集めるようになりましたが、特に30・40代の若い方には家を建てる時に、 30年後を考えてほしいと思います。30年後、ご自身が60・70代の高齢者になった時に、温度差のない家に住んでいることで体にかかる負担はまったく違ってきます。 高い保険に入るよりも、高気密・高断熱で温度差がない住環境を整える方が断然よいと私は思います。
ヒートショックとは、温度の急激な変化により、血圧が大きく上下することで引き起こされる健康被害のことです。失神をはじめ心筋梗塞、脳梗塞などで、 特に冬場に多く発症し死に至るケースも少なくありません。浴室や浴槽で起こる場合が最も多く、温度差が10℃以上あるときに起こりやすくなっています。
ヒートショックは入浴中に多く発生します。それは暖かい居間と暖房のない廊下や脱衣所などの温度差が大きいためです。暖かい場所から寒い場所へ行くことで血管が縮まり、 血圧が急激に上がります。これが、心筋梗塞や脳卒中を起こす原因になると考えられます。また、湯船に入ると今度は縮まっていた血管が広がり血圧が急降下。 この急激な血圧低下が失神して溺死する原因になります。ヒートショックによる健康被害は高齢者だけでなく、高血圧や糖尿病など持病を抱えている人にも起こりやすいので注意が必要です。
まずは家中の温度差をなくすこと。温度差があるほど危険度は高まるので、家の中での温度差をなくします。寒暖の差がなくなれば体への負担が軽くなり、ヒートショックの可能性は低くなります。 1階や2階の居室、浴室など、どこにいても温度差がない住環境をつくればヒートショックの危険はぐんと下がります。
家全体の温度を快適に保つことができるから、ヒートショックのリスクを軽減することができます。
浴室やトイレなどの温度差が大きくなりがちな場所も安心。