【事例3選】平屋の外観デザインは「形状×素材×色彩」で決まる
平屋の外観の印象は、おもに「形状・素材・色彩」の3つの要素の組み合わせによって決まります。それぞれの要素がどのように外観デザインに影響を与えるのか、おしゃれでモダンな平屋を実現するポイントを見ていきましょう。
1. 印象を操作する「形状(フォルム)」の設計
建物フォルムは、家全体のイメージを決めるベースとなる要素です。屋根の形や建物の凹凸、ボリューム感によって、シャープさや重厚感など、住まいの印象が変わります。
片流れ屋根

屋根が一方向に傾斜する「片流れ屋根」は、左右非対称のフォルムが特徴。見る角度によっては、ボックス形の家にも見えるシンプルな形状です。現代的なシャープさとダイナミックさをあわせ持つ、モダンな外観に仕上がります。また、屋根面を広くとれるため、ソーラーパネルの設置に適しています。
コの字型

中庭を囲む「コの字型」の家は、屋内外がゆるやかに繋がる心地よさを、外観からも感じとれるのが魅力です。窓を多く設けられるため、光や風をたっぷり取り込み、明るい住環境が実現します。
差し掛け屋根

高さの異なる2つの屋根が寄り添う「差し掛け屋根(招き屋根)」。独特な屋根の形状が、平屋に重厚感や風格を与えてくれます。伝統的なデザインですが、全体をシックな色合いでまとめると、モダンな印象に仕上がります。
2. 質感を操る「素材(マテリアル)」の選択
シャープな印象の金属や、ぬくもりのある木目柄、上質感のあるタイル柄、重厚感のあるレンガ調など、外壁材の選び方や組み合わせによって、外観の雰囲気は変わります。さらに素材の持つ質感が、建物に奥行きや深みを与え、印象に豊かさをもたらします。
ホワイトガルバリウム×木目調サイディング

下見板張り調のホワイトのガルバリウム鋼板に、木目調のサイディングを合わせたナチュラルモダンな外観。2種類の外壁材を面で張り分けることで、シンプルなフォルムの平屋に奥行きと立体感をもたらしています。
くしびき柄×木目柄

ブルーグレーのくしびき柄をメインに、玄関まわりに木目調のサイディングをあしらい、あたたかみのあるウェルカム感をプラス。ワントーンの外壁でも、繊細なくしびき柄の凹凸が生む陰影により、表情豊かな外観に仕上がります。主張が強い柄は、ポイントで使うのが、上品に仕上げるコツです。
3. 雰囲気を決定づける「色彩(カラー)」の計画
平屋の外観において、色は視覚的な第一印象を左右する要素です。同じフォルム・素材の家でも、色の選びによって雰囲気はがらりと変わります。濃い色や暗い色は高級感・重厚感を、明るい色や淡い色は軽やかでやさしい佇まいを演出します。
全体をダークトーンで統一

屋根・外壁・サッシなど、全体をブラック系で統一した、シックでスタイリッシュな人気のスタイル。同系色でまとめても、素材ごとに色の濃淡やツヤ感が異なるため、単調にならず、洗練された雰囲気に仕上がります。
ツートンカラーでコーディネート

ホワイトとベージュの2色で外壁を上下に張り分けたデザイン。足元に濃い色を配置すると重心が下がり、どっしりとした安定感が生まれます。左右で張り分ける場合は、建物の凹凸に合わせるとまとまりやすく、縦にラインを入れるように張り分けると、垂直方向が強調されてシャープに見えます。
【間取り図付】外観と暮らしは繋がる。ライフスタイルを映す設計事例
住まいの外観は、内部の暮らしや住み心地と深く関わっています。どのような外観デザインが日々の暮らしに影響を与えるのか、事例を通して見ていきましょう。
事例1:外からの視線をカバーしつつ、開放的な室内に



シンプルなフォルムが印象的なモダンな外観。道路側には大きな窓を設けず、外からの視線をしっかりカット。一方、LDKには屋根の形状を活かした吹き抜けを設け、プライバシーを守りながらも、明るく開放的な空間に。外観をあえて閉じることで、内側に心地よい広がりを生み出し、ゆったりと落ち着いて過ごせる住まいを実現しています。
事例2:大切な愛車を守り、車のある暮らしを快適に



車やバイクが趣味の方にとって、憧れの家といえばビルトインガレージのある住まい。紫外線や風雨から大切な愛車を守れるのはもちろん、車のメンテナンスもしやすくなります。ガレージと玄関ホールが直結していれば、雨の日でも濡れずに出入りでき、小さな子どもがいるご家庭や荷物の多い日も移動がスムーズです。
寝室の窓は高い位置に設けて通りからの視線をカットし、奥まった位置に配置したリビングには大きな窓を採用。開放感とプライバシーを両立し、住み心地を高めています。
後悔しないための重要知識。外観の費用・メンテナンス・失敗対策
理想の平屋を実現するには、外観のデザインだけでなく、家づくりにかかる費用やメンテナンスについての知識も欠かせません。さらに、住みはじめてからの後悔を防ぐために、失敗事例もチェックしておきましょう。
【費用】おしゃれな平屋の外観、実際いくらかかる?
平屋の外壁にかかる費用は、おもに使用する素材によって異なります。素材のグレードによって価格に幅があり、さらに耐久性や必要なメンテナンスの頻度も変わってくるため、長期的な視点で選びましょう。
<外壁材の費用目安>
外壁材 |
費用の目安(費用/㎡) |
耐久年数 |
メンテナンスの目安 |
窯業系サイディング |
3000〜10000円 |
20〜40年 |
7〜15年 |
金属系サイディング |
ガルバリウム鋼板: 3500〜6000円
アルミニウム: 5000〜8500円 |
20〜40年 |
10〜15年 |
木質系サイディング |
6000〜9000円 |
15〜30年 |
10年程度 |
樹脂系サイディング |
7000〜10000円 |
20〜30年 |
10〜20年 |
塗り壁 |
6000〜8000円 |
20〜30年 |
8〜10年 |
タイル |
10000〜50000円 |
40年 |
タイルはメンテナンス不要。目地材は劣化が生じたら修理を。 |
ALC(表面塗装含む) |
7000〜15000円 |
60年 |
10〜15年 |
【失敗対策】設計段階で回避すべき、よくある外観の失敗例
外観にこだわるあまり、住みはじめてから「こんなはずではなかった」と後悔するケースは少なくありません。よくある失敗例と対策方法を確認しておきましょう。
イメージしていた仕上がりと違う
質感や色のニュアンスは、図面やカタログを見るだけでは伝わってきません。実際の施工事例を見学したり、サンプルを取り寄せたりして、「見て・触れて・比べる」ことが大切です。とくに、色は面積や光の当たり方で印象が変わるため、できるだけ大きなサンプルで確認しましょう。その際、屋内の照明だけでなく、太陽の光が当たる屋外でどのように見えるかも確認すると、よりイメージに近い仕上がりになるはずです。
黒い外壁にしたら、夏に室内が暑くなった
黒い外壁は太陽光を吸収しやすく、夏場は外壁の表面温度が上昇します。外温度が室内に伝わりにくくするには、住まい全体の断熱性・気密性の向上が不可欠です。また、軒の出を深くするのも、夏の強い直射日光を遮るのに有効です。
窓を大きくしたら、視線が気になってカーテンが開けられない
開放感を重視して大きな窓を設けたものの、近隣の視線が気になって常に窓を閉めているというケースもあります。窓の大きさや配置は、隣家との距離感や外構計画とあわせて検討し、目隠し壁や格子、植栽などで視線を遮る工夫をしましょう。
初期費用だけを見て、メンテナンス費用を見落としていた
安価な外壁材を選べば初期費用を抑えられます。しかし、色褪せやひび割れといった劣化が早い場合、塗り替えや補修が頻繁に必要となり、結果的にトータルコストが高くなることも。たとえば、タイルは初期費用が高めですが、メンテナンス頻度が少なく、長期的に見るとコストパフォーマンスに優れています。価格・耐久性・メンテナンス性のバランスを見極めながら素材を選びましょう。
【未来予測】2025年以降のモダントレンド
これからのモダンな平屋に求められるのは、快適な住環境だけではありません。環境への配慮や予測できない自然災害への対応といった、未来を見据えた機能性を兼ね備えることが、これからのスタンダードとなっていくでしょう。
環境性能との融合
脱炭素社会の実現に向けて、「美しさ」と「省エネ性能」を両立するデザインが、今後ますます重要視されます。たとえば、太陽光パネルを屋根と一体化させたデザインや自然素材を活かした木質系サイディング、再生材料を用いた外壁材の採用など、サステナブルな建材を取り入れる動きが広がっています。これからは、環境性能をデザインに自然に溶け込ませることが、おしゃれな平屋の新しい基準となっていくでしょう。
防災性とデザインの両立
台風や豪雨、猛暑といった激化する気象変動に対応できる住宅設計も、これからの家づくりに欠かせません。なかでも注目されているのが、軒の出や庇の工夫です。日差しや雨風を適度に遮る効果があり、室内環境を快適に保ちながら、建物の劣化も抑えます。さらに、耐風性・耐水性に優れたサッシやガラス、外壁材の採用も、住まいの安全性を高めるうえで重要視されるでしょう。
あなたのこだわりを形にするパートナー選び
理想の住まいを実現するには、デザイン力の高さだけでなく、あなたの中にあるイメージや想いを丁寧に汲み取り、具体的な形に落とし込んでくれるハウスメーカーとの出会いが重要です。外観も間取りも、暮らしに寄り添った設計でこそ、本当に満足できる住まいが完成します。まずは、自分たちらしい暮らしを形にしてくれる、信頼できるパートナー探しからはじめてみましょう。