住宅ローン審査と転職の関係は?知っておくべき影響と対策
住宅ローン審査において、転職経験は審査結果を左右する重要な要素です。金融機関が勤続年数を重視するため、転職は審査に影響を与える可能性があります。
勤続年数が審査に及ぼす影響
国土交通省「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、金融機関が住宅ローン審査で評価する項目として、勤続年数は93.6%を占めています。この数値からも、勤続年数が審査において非常に重視されている事実がわかるでしょう。
住宅ローン審査で評価する項目
金融機関が住宅ローン審査で評価する、主な項目とその割合を確認しておきましょう。
金融機関は勤続年数に対して、それぞれ独自の基準を設けています。
多くの金融機関が「1年以上」の勤続年数を最低条件としますが、「3年以上」を求める金融機関も少なくありません。転職は勤続年数のリセットを意味するため、住宅ローン審査において大きな影響を与えると考えられます。
<金融機関が住宅ローン審査で評価する項目>
・完済時年齢(98.5%)
・健康状態(96.6%)
・借入時年齢(96.0%)
・年収(94.0%)
・勤続年数(93.6%)
・返済負担率(92.0%)
・担保評価(91.8%)
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転職が審査に与えるプラスとマイナスの要因
転職が住宅ローン審査に与える影響は、一概にマイナスとは言えません。収入増加を伴う転職は、むしろプラスに働く場合があります。
具体的には、大手企業や上場企業への転職、キャリアアップによる収入増、非正規雇用から正社員への転換などが挙げられます。これらのケースでは、返済能力の向上を金融機関に示すことができ、審査において高い評価を得られるはずです。
一方で、転職による勤続年数のリセットは、マイナス要因となります。とくに、勤続年数が短い場合は収入の安定性を疑問視され、審査が厳格化する傾向にあります。頻繁な転職歴は、安定性を損なう要素として捉えられるため、審査において不利になるでしょう。
雇用形態の変化が審査に与える影響
転職に伴う雇用形態の変化も、住宅ローン審査に影響を与えます。
国土交通省の同調査によると、71.5%の金融機関が審査において雇用形態を評価対象としています。とくに、派遣社員や契約社員は、多くの金融機関で融資対象外となる傾向が見られるのです。
正社員から非正規雇用への転職は、住宅ローン審査において不利に働く可能性が高くなります。また、自営業者を融資対象外とする金融機関も存在するため、転職を検討する際は、雇用形態の変化が及ぼす影響を十分に考慮する必要があるでしょう。
転職後の住宅ローンはどうしたらいい?審査通過の可能性と対策
一般的に、転職後に住宅ローンを申し込むと審査が厳しくなる傾向にあります。勤続年数のリセットなどが審査に影響を与えるためです。しかし、条件によっては転職直後でも住宅ローン審査に通る可能性があるのです。
転職直後でも審査に通りやすいケース
転職直後の住宅ローン審査は一般的に通りにくいとされているため、基本的には、転職後3年以上の勤続年数を経てから住宅ローンを申し込むことが推奨されます。
ただし、いくつかのケースでは審査に通る可能性があるのです。
同業種でのキャリアアップ転職では、専門性や実績が評価され、勤続年数の短さをカバーできるでしょう。中小企業から大手企業・上場企業への転職は、企業の安定性から将来の収入安定性を示すと考えられます。ヘッドハンティングによる転職も、スキルや経験が評価されている証拠となり、審査において有利に働く可能性があります。
また、十分な自己資金を頭金として準備できる場合や、他の資産がある場合、返済能力の証明となり、審査に通りやすくなります。
ただし、金融機関ごとに審査基準が異なるため、事前に相談して確認するのがよいでしょう。
<転職直後でも住宅ローン審査に通過する可能性があるケース>
・同業種でのキャリアアップ転職
・大手企業への転職
・ヘッドハンティングによる転職
・自己資金や資産が多い
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転職直後の住宅ローン審査を通過するための対策
転職直後の住宅ローン審査を通過するための対策として、ふたつの方法が考えられます。
対策1 |
勤続年数の要件がない住宅ローンを選ぶ |
対策2 |
自己資金を多めに準備する |
勤続年数の要件がない住宅ローンを選ぶ
勤続年数の要件がない住宅ローンとして、代表的なものに「フラット35」があります。
フラット35は住宅金融支援機構が提供する長期固定金利型住宅ローンで、勤続年数や雇用形態に関係なく利用可能です。
ただし、金利面では民間の住宅ローンよりも高くなる場合があるため、長期的なコスト比較が必要です。
自己資金を多めに準備する
また、自己資金の割合を増やすことも有効です。頭金として自己資金を投入することで借入額を減らせるため、返済負担が軽減されます。金融機関からの信頼も得やすくなるはずです。
一般的に、物件価格の20%以上の自己資金があれば審査で有利に働くとされています。
転職直後で勤続年数に不安がある場合は、自己資金を増やし、借入金額を下げることで審査通過の可能性を高めることができるでしょう。
転職前に住宅ローンを組んだほうがいい?注意点と控除手続き
お話ししてきた通り、転職直後は住宅ローン審査が厳格化する傾向にあるため、住宅購入は転職前に検討すべきと言われています。しかし、住宅ローン契約後に転職する場合、いくつかの注意点や住宅ローン控除の手続きについて理解しておく必要があるのです。
返済計画を見直し
転職によって収入が変動した場合、住宅ローンの返済計画を見直す必要があるか検討しましょう。転職後の収入増加が見込まれる場合、現在の返済計画に無理がなければ、特に変更する必要はありません。
しかし、収入減少によって返済が困難になる場合には、早急な対応が求められます。対応策としては、繰り上げ返済による元本削減や、金融機関への相談による返済期間延長などが考えられます。返済が厳しいと感じたら、延滞する前に金融機関へ相談しましょう。
金融機関への申告義務
住宅ローン返済中に転職した場合、金融機関への申告が必要です。住宅ローン契約の約款には、勤務先変更時に速やかに申告する義務が定められているのが一般的となっています。
金融機関に転職を申告しても、適用金利などの契約条件が変更される可能性は、原則としてありません。返済が滞らない限り、転職自体が問題になることはないため、速やかに金融機関へ報告するとトラブルを未然に防げるでしょう。
住宅ローン控除のための手続き
住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けている期間中に転職した場合、手続き方法は転職のタイミングによって異なります。
退職した年に再就職した場合、転職先の会社で年末調整が可能です。前職の源泉徴収票を転職先に提出すると、前職と転職先の収入が合算され、控除額が計算されます。
一方、退職した年に再就職しなかった場合は、確定申告が必要です。退職時に受け取った源泉徴収票や住宅ローン残高証明書などを用意し、管轄の税務署で手続きしてください。
いずれの場合も、住宅ローン控除の適用条件を満たしていれば、転職後も控除を受け続けることができます。ただし、転職によって年収が大きく変動する場合は、控除額に影響が出る可能性があるため注意が必要です。
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転職後の住宅ローン返済は?困難な状況を乗り越えるための相談と対策
転職後の収入減少や予期せぬ経済状況の変化は、住宅ローン返済を困難にする要因となります。しかし、早めの対策を講じれば、返済負担を軽減し、生活を安定させられるはず。
金融機関へ相談し状況に応じた返済プランを見直しする
まず、住宅ローンを契約している金融機関に相談しましょう。
転職による収入減少などにより返済が困難になりそうな場合、返済方法の変更について早めに相談してください。金融機関は、状況に応じた改善案を提示してくれる可能性があります。
<住宅ローン返済が困難になった場合の対処例>
・返済期間の延長
・一時的な返済猶予
・ボーナス返済額の減額
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返済期間の延長
返済期間の延長は、毎月の返済額を減らす一般的な方法です。
ただし、返済期間が長くなるため、総返済額は増加します。また、返済期間が最長35年と定められている場合が多く、既に35年で契約している場合は延長が難しいでしょう。
一時的な返済猶予
一定期間、元本の返済を停止し、利息のみの支払いにして負担を軽減する方法も考えられます。この措置は短期的な解決策として有効です。
ボーナス返済を減らす
ボーナス返済をしている人のボーナスが減って返済が苦しい場合、ボーナス返済分を減らして毎月の返済を増やす方法も有効です。その際、毎月の返済が難しくならないように、家計の見直しも必要です。
繰り上げ返済を活用して返済負担を軽減する
手元に資金がある場合は、繰り上げ返済によって毎月の返済額を減らせます。
繰り上げ返済は、手元資金に余裕がある場合の有効な手段です。返済負担を軽減し、将来的な利息負担を減らせるのです。
繰り上げ返済には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、返済が苦しい場合は毎月の返済額を減らせる「返済額軽減型」がおすすめです。
たとえば、借入金額3,000万円、借入期間35年、金利1.0%の場合、5年後に200万円を繰り上げ返済すると、以下のような効果が期待できます。
<繰り上げ減殺の効果>
毎月返済額 |
84,685円→78,237円 |
月あたりの軽減額 |
6,448円 |
トータルの利息軽減額 |
314,904円 |
ライフプランから転職と住宅ローンを計画するには?共働き世帯の活用法
人生設計において、キャリア形成と住宅取得は重要な要素です。特に、住宅取得を検討する年代は転職と重なる場合が多く、計画的な両立が求められます。
転職と住宅ローンのバランスは、どのようにとっていくのか確認していきましょう。
年代別・ライフステージに合わせた転職と住宅ローンのポイント
住宅取得を検討する年齢層は、40代前半までが多いでしょう。
そのため、理想のキャリアとマイホームを両立させるためには、年代別のライフプランに応じた戦略が不可欠です。
年代別の転職や住宅取得などのライフプランのポイントの違いについて、把握しておいてください。
また、どの年代においても住宅ローンと転職の決断は、単独ではなく家族計画や教育、老後も含めた総合的なライフプランの中で検討するようにしましょう。
<年代別転職と住宅取得を考慮したライフプランのポイント>
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20代後半
(25〜29歳) |
30代
(30〜39歳) |
40代前半
(40〜45歳) |
キャリア戦略 |
・専門性と市場価値を高める転職
・年収アップを目指した積極的なキャリア構築
・将来の安定性を見据えたスキル獲得 |
・管理職への昇進や専門職としての確立
・ワークライフバランスも考慮した転職
・収入の安定性と成長性のバランス |
・転職する場合は定年後も見据え慎重に
・転職するなら慎重な判断が必要
・副業など収入源の多様化も検討 |
住宅ローン戦略 |
・頭金の積極的な貯蓄
・住宅購入に向けた情報収集
・良好な信用履歴の構築 |
・本格的な住宅購入の実行期
・35年ローンでも無理のない返済計画
・将来の家族構成を見据えた住宅選び |
・自己資金を多めに準備
・繰り上げ返済で定年での完済を目指す
・住宅の資産価値も重視した選択 |
キャリアと住宅のバランス |
・転職優先でキャリア基盤を固める
・結婚や家族計画と連動させた住宅計画
・柔軟性を残した貯蓄戦略 |
・転職後1〜2年経過してから住宅購入
・子どもの教育環境を考慮した立地選び
・共働きの場合は両者の通勤を考慮 |
・住宅ローンと教育費の両立
・老後資金の確保も並行して必要
・健康リスクへの備えも重要 |
資金計画の重点 |
・住宅頭金の貯蓄(目標20%以上) |
・住宅ローンの頭金と諸費用 |
・住宅ローンの繰り上げ返済 |
転職のリスク管理 |
・貯蓄で数ヵ月分の生活費確保
・スキルアップ投資 |
・転職前に住宅購入する場合は慎重に
・家族の理解と協力
・収入減少期間の対策 |
・転職による収入減少リスクを慎重に評価
・住宅ローン返済への影響を試算
・再就職難易度の上昇を考慮 |
住宅購入の優先度 |
低〜中(準備と調査段階) |
高い(実行の好機) |
中程度(未取得なら緊急性あり) |
20代の住宅取得とキャリア戦略
20代後半は主に準備期間として、キャリア形成と頭金貯蓄に注力する時期です。まだ住宅購入よりもキャリアの可能性を広げることを優先すべき段階といえます。
30代の住宅取得とキャリア戦略
30代は多くの人にとって住宅取得の実行期です。キャリアもある程度安定し、家族形成も進む時期であり、35年ローンでも定年前に完済できる可能性もあります。この時期の転職は住宅ローン審査への影響も考慮して、慎重に計画しなくてはなりません。
40代の住宅取得とキャリア戦略
40代前半では転職先の選択肢が狭まるため、転職するなら早めにすませて落ち着きたいところです。また、住宅ローンの返済期間も短くなるため、未取得の場合は計画的に進める必要があります。
共働き世帯の転職リレー戦略と住宅ローン活用法
共働き世帯では、夫婦が同時に転職するリスクを避け、片方が安定した収入を維持しながら、もう片方がキャリアチェンジする「転職リレー戦略」が有効です。家庭全体の収入安定性を保ちつつ、キャリアアップを目指すことができます。
また、住宅ローン審査では一般的に、共働き世帯は単身者よりも有利とされています。ただし、金融機関は夫婦それぞれの雇用安定性も重視するため、一方が転職直後の場合、もう一方の安定した勤続年数が重要視されるのです。転職後の収入増加が見込まれる場合は、それを考慮したローン計画も可能になるでしょう。
経済的安定を保ちながら理想の住まいを実現するために、配偶者の収入状況を活用した計画的な転職と住宅ローンの計画が不可欠なのです。
住宅ローンと転職を成功させるには将来設計を見据えた賢明な選択が不可欠
住宅ローン審査では、金融機関は安定した収入を重視するため、勤続年数は重要な評価項目となります。
転職によって勤続年数がリセットされる前に住宅取得を検討する方もいるでしょう。しかし、転職後の経済状況が予期せぬ変化を見せた場合、住宅ローン返済が困難になるリスクも考慮する必要があるのです。
このような状況を回避するには、転職の予定について、金融機関の担当者へ相談が望ましいでしょう。複数の金融機関に相談し、自身の状況に合った適切なアドバイスを提供する金融機関を選択するべきです。
金融機関は、転職後の収入変動や返済計画について様々な視点から助言を行い、リスクを最小限に抑えるための情報提供をしてくれます。事前に相談すれば、転職後の返済計画について現実的な見通しを持つことができ、安心して住宅ローンを利用できるはずです。
また、転職を検討する際は、住宅ローンの返済計画だけでなく、生活全体の資金計画を見直す機会と捉え、慎重に検討していきましょう。