断熱材とは?なぜ大切なの?
断熱材は、建物の壁や天井などに使用する建築資材で、熱の伝わりを遮り、外の暑さ・寒さに左右されない快適な室内環境をつくるために欠かせません。
近年、脱炭素社会の実現に向けて、住宅の省エネルギー化が重要視されるようになり、新築住宅や非住宅には2025年4月から断熱等級4が義務化されます。さらに、2030年には基準が引き上げられ、断熱等級5以上が求められる予定です。
今後は、断熱等級を満たすために、適切な断熱材・工法の選択が重要になるでしょう。
断熱材の種類
断熱材は、大きく分けて「無機繊維系」「木質繊維系」「発泡プラスチック系」があります。それぞれの特性を比較してみましょう。
<無機繊維系>
断熱材 |
主原料 |
特徴 |
メリット |
グラスウール |
リサイクルガラス |
繊維系断熱材の中で最も普及している |
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ロックウール |
溶鉱炉で生成されたスラグ |
耐火性、耐水性に優れている |
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<木質繊維系>
断熱材 |
主原料 |
特徴 |
メリット |
セルロースファイバー |
古新聞や古紙 |
木材繊維を原料とした断熱材 |
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<発泡プラスチック系>
断熱材 |
主原料 |
特徴 |
メリット |
ウレタンフォーム |
ポリウレタン樹脂 |
発泡プラスチック系断熱材の中で最も断熱性が高い |
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ポリスチレンフォーム |
ポリスチレン樹脂 |
ビーズ法と押出法がある |
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フェノールフォーム |
フェノール樹脂 |
耐火性、耐水性に優れている 主に外張り断熱に使用される |
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断熱性能が高い住宅のメリットは?
断熱性能が高い家は、住み心地や省エネ性を向上させる多くのメリットがあります。断熱性能にかかわるUA(外皮平均熱貫流率)値やηA値(イータエー値)についても、確認しておきましょう。
断熱性能にかかわる数値
断熱性能は、UA値とηA値(イータエー値)、さらに気密性能を示すC値で決まります。各数値の意味を確認して、快適な家づくりのヒントにしましょう。
UA値(外皮平均熱貫流率)
UA値は、外壁・床・屋根・窓といった建物の外皮を伝わって、住宅全体の熱がどれくらい外へ逃げやすいかを示す数値です。UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能に優れています。
ηA値(平均日射熱取得率)
ηA値は、住宅にどのくらいの日射熱が入るかを示す数値です。季節によって日射熱量は変わるため、冷房期のηA値と暖房期のηAH値で分けて評価されます。ηA値が小さければ冷暖房効率が高く、ηAH値が大きければ日射熱量が多くあたたかい、省エネ性に優れた住まいとなります。
C値(相当隙間面積)
家全体にどれくらい隙間があるか示す数値です。C値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高い住まいとなります。どんなに断熱性能に優れた建材を使っても、気密性が低ければ冷暖房効率が下がってしまい、快適な室内環境を保てません。そのため、断熱性能と気密性能はセットで考えるのが基本です。
断熱性能が高い住宅のメリットと住み心地
断熱性能が高い住宅は、365日快適で健康的な室内環境を実現します。暑さや寒さに悩まされず、家中どこでも心地よく過ごせるのが魅力です。冷暖房効率の向上により光熱費を大幅に削減できるため、家計への負担を減らせるのも大きなメリット。また、結露を防ぎ、カビやダニが発生しにくくなるため、アレルギーや喘息などの健康リスクを減らす効果も期待できます。
<断熱性能が高い住宅のメリット>
- 冬あたたかく夏涼しい、一年を通して快適な室内環境を保てる
- 冷暖房効率が上がり、光熱費の削減につながる
- 結露が発生しにくく、カビやダニの発生を軽減できる
- 部屋間の温度差が少なくなり、ヒートショックのリスクを軽減できる
高気密高断熱住宅と一般住宅は何が違うの?
高気密高断熱住宅は、文字通り気密性や断熱性が高い住宅です。外気の影響を受けにくく、年間を通して快適な室内環境を保てるのが特徴です。建築費用は一般的な住宅よりも高くなりますが、ランニングコストを抑えられる点は大きなメリットでしょう。
一方、一般住宅は、築年数が古いほど断熱性能が不十分なケースが多くなります。壁や屋根、床下・窓などから外気が伝わりやすいため、快適性が損なわれてしまうことも。こうした断熱性能の違いは、断熱等級によって示されます。
断熱等級とは
住宅の断熱性能は、断熱等級1〜7の7段階で評価されます。数字が大きいほど断熱性能が高く、省エネルギー性や快適性に優れています。
<断熱等級ごとの性能の違い>
断熱等級 |
断熱性能 |
等級1 |
無断熱の状態。 |
等級2 |
1980年に制定された旧省エネ基準。 |
等級3 |
1992年に制定された新省エネ基準。2025年4月からは省エネ基準に不適合となる。 |
等級4 |
1999年に制定された次世代省エネ基準。2025年4月から最低等級となる。 |
等級5 |
2022年4月に施行された基準。断熱等級よりも上位の、一次消費エネルギーを実質ゼロ以下にすることを目指すZEH(※)の断熱基準と同等レベル。2030年以降はすべての新築住宅に求められる。 |
等級6 |
2022年10月に施行された基準。HEAT20 G2と同等程度の性能を備え、等級4よりも冷暖房にかかるエネルギー消費量を約30%削減できる。 |
等級7 |
2022年10月に施行された基準。HEAT20 G3と同等程度の性能を備え、等級4よりも冷暖房にかかるエネルギー消費量を約40%削減できる。 |
※ZEH(ゼッチ)とは
ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略。家庭で使うエネルギー量と太陽光発電などで作るエネルギー量の収支をゼロ以下にする「住宅の新しい形」として、注目されています。住宅全体の断熱性や設備の効率化によってエネルギー消費量を大幅に削減し、年間のエネルギー消費量を実質的にゼロ以下にするのです。
2016年に大手ハウスメーカーがZEH住宅を相次いで発表し、広く知られるようになりました。ZEHは、快適な室内環境を維持しながら省エネルギーを実現する住宅であり、夏は涼しく、冬は暖かい快適な暮らしとエネルギー消費の抑制を両立を目指しています。
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結露知らず
壁の中の温度差を少なくすることで、結露の発生を抑制。カビやダニの繁殖を防ぎ、健康的な住まいを実現します。
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省エネ効果
高い断熱性により、冷暖房効率がアップ!光熱費を抑えられて、家計にも環境にも優しいエコな暮らしを実現できます。
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断熱材で暮らしは大きく変わる!どう変わるの?
断熱材は、家ができあがると見えなくなってしまいますが、住み心地を格段に変える大事な部分です。断熱性を高めた住まいは、外気温の影響が少ない快適な室内環境を保てるため、健康面や経済面に多くのメリットをもたらします。
一年を通して心地よい室内環境を実現
断熱性に優れた家は、季節による大きな温度変化が少ないのが大きなメリットです。冬はあたたかく、夏は涼しく、快適な室内環境をつくれます。
光熱費を削減
外気温の影響を受けにくく、室内の温度変化が少ないため、冷暖房の使用を減らせます。光熱費を節約できるうえに、冷暖房器具への負荷も軽減できます。
ヒートショックのリスクを軽減
断熱材は、健康面に大きな影響を与えます。断熱性能が低い家は、冬場になるとリビングは暖房であたたかくなる一方で、浴室やトイレは冷え切ってしまいます。しかし、断熱性に優れた家であれば、部屋ごとの温度差が抑えられるため、部屋を移動してもヒートショックのリスクが少なく、安心して暮らせるでしょう。
間取りの自由度が上がる
吹き抜けや大空間を設けても、冷暖房効率が下がりにくい住まいをつくれます。間取りの幅が広がり、理想の住まいを実現しやすくなるでしょう。
防音性が向上
断熱材には、熱を遮るだけでなく音を吸収する効果もあります。屋外の騒音を遮断し、室内の音が外に漏れにくい環境を実現できるのです。交通量が多いエリアや繁華街など、騒音が気になる立地でも静かに過ごせるでしょう。また、赤ちゃんやペットのなき声、ピアノを弾く音が外へ漏れにくいため、近隣への配慮も行き届きます。静かな環境で暮らしたい方や、睡眠環境を整えたい方にとって、大きなメリットとなるはずです。
2025年、最新の断熱材のトレンドは?
断熱材の技術は、日々進歩しています。近年は、より高性能な断熱材や、環境に配慮した自然素材系の断熱材が注目を集めています。
<最新の断熱材トレンドの一例>
アルミ箔面材付き高性能硬質ウレタンフォーム |
高性能硬質ウレタンフォームのセルを微細化し、両面に遮熱性能に優れたアルミ箔面材を貼った断熱材。一般的な断熱材では得られない輻射熱に効果があり、省エネ性・快適性を一段と向上させます。 |
真空断熱材 |
真空状態の層をつくり、熱の移動を最小限に抑える断熱材。通常の断熱材の5〜10倍の断熱性を持ち、薄い構造で広い居住空間を確保できるのがメリットです。 |
羊毛(ウール) |
天然の羊毛を主原料とした断熱材。調湿・吸音・耐水性に優れ、健康被害の原因となるホルムアルデヒドを発散させません。再生可能な素材のため、環境にやさしい家づくりができます。 |
炭化コルク |
ワインの栓として使われるコルク樫の樹皮を炭化させてつくる断熱材。調湿性・吸音性に優れ、防虫効果も備えています。木を伐採せずに製造できるため、環境にやさしい建材です。 |
断熱材に強いハウスメーカーの選んで快適な住まいづくりを
快適な住まいを実現するためには、断熱材に強いハウスメーカー選びが重要です。住宅メーカーによって使用する断熱材や工法は異なるため、断熱性能に優れた家づくりについての知識や実績が豊富にあるかを確認しましょう。
快適性の高い家に住みたい方や、断熱材についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ信頼できるハウスメーカーに相談してみてください。地域の気候や暮らしに合った具体的なアドバイスをもらえば、満足度の高い家づくりができるはずです。