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03 ダニが及ぼす健康被害と対策法を聞く 農学博士 吉川 翠 よしかわ みどり

Profile

吉川 翠(よしかわ みどり)

オハイオ州立大学大学院昆虫学部卒業。農学博士。
東京都都立衛生研究所主任研究員、厚生省生活衛生局住宅指針検討専門部会委員、通産省生活産業局繊維企画官付などを歴任。各種学会賞延べ8回受賞。現在、都市居住環境研究所 代表

■主な著書
「体によい家悪い家」(共著 講談社)「住まいQ&A室内汚染とアレルギー」(共著 井上書院)
「住まいQ&A寝室・寝具のダニ・カビ汚染」(共著 井上書院)
「暮らしと体のダニ・カビ撃退法」(共著 主婦の友社)
「害虫追い出し百科」(共著 近代文藝社)
「新しいカビ・ダニ退治法」(共著 主婦と生活社) など多数

■メディア主演
テレビ朝日「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」、NHK「ためしてガッテン」、NHK「あさイチ」、テレビ東京「L4YOU!」など多数

屋内では、どのようなダニの健康被害がありますか?

アレルギーによる健康被害が心配です。即時型のI型アレルギー反応でアレルギー性鼻炎や目アレルギー、アレルギー性気管支喘息、アトピー性皮膚炎と家のダニの関係が分かっています。これらの疾病ではチリダニの糞が原因物質の一つです。チリダニは皮膚を刺したり噛んだりすることはありませんが、その糞が悪さをするのです。

日本には約1700種類のダニがいます。このうち家屋内で見つかるのは現在約40種類ですが、最近はとくにチリダニが多くなっています。刺したり噛んだりするダニの代表格はツメダニという種類です。これはワラ畳のなかに多くいました。しかし畳床がインシュレーションボードなどの化成品でつくられている化学畳の普及によって、ツメダニはあまり見かけなくなりました。フローリングのお部屋が増えていることも生息数が減っている理由の一つです。

ダニ写真

生きているダニよりも糞が危険だとは驚きました。この糞がなぜ問題になるのでしょうか?

アレルギー活性が高いのはダニの死骸よりも糞です。糞の蛋白分子量は24000ほどですが、これはダニ虫体の蛋白分子量15000よりもアレルギー反応を引き起こしやすいのです。しかも微粒子の糞はとても軽いので人が歩いたりするだけで空気中に舞い上がってしまいます。ダニは1日に6個ほどの糞を出します。これは10~40ミクロンほどの大きさです。ところが糞は乾燥すると数ミクロンの粉になってしまい、空気中に浮遊しやすくしなります。そして私たちは気管支に吸い込んでしまいます。

チリダニがたくさんいる場所はどこですか?

調査をするとベッドや布団で多く見つかります。とくに枕周辺に潜んでいますね。というのも、チリダニの餌は主にたんぱく質なのですが、人間のフケはとくに大好物なのです。ただしチリダニの大きさは300ミクロンと小さいので、肉眼ではほとんど確認できません。そのため就寝中に頭を動かしたり寝返りをするたびにダニの糞を吸い込んでしまいます。私たちは布団や枕に棲んでいるダニの糞が空気中に飛散している部屋で寝ているわけです。

チリダニが大好物のフケは子どもよりも大人に多いので、ダニの健康被害のことについてだけ言えば、大人のベッドの方に多くのダニが棲んでいることが予想できます。アレルギーは子どもに多いという印象がありますが、大人の寝室はアレルゲンが多い環境といえます。じつは大人のベッドの方がハイリスクなのです。

アレルギー疾患が心配な方は、30センチ以上の高さがあるベッドに寝ることをおすすめします。粉々になったダニの糞は軽いので、空気中に舞い上がると床上20㎝あたりを浮遊することが多いからです。

どれほどダニが増えると健康被害が心配されるのでしょうか。

アレルギー性気管支喘息の患者は、その大半がチリダニの影響だという報告があります。ただ患者のお家でとくにダニが多いということはなく、アレルゲンに過敏なために発症しているようです。どこまでダニの数を減らすと気管支喘息の発症を抑えられるのかという報告によると、1㎡あたり200匹以下に保ったとき喘息発作が大幅に減少するといいます。また100匹以下ではほとんど発作が認められなくなりました。

鼻からダニの糞を吸い込むことでアレルギー性鼻炎になります。この予防のためには、床材がフローリングの場合は1㎡あたり10匹以下の保つこと。これは数日に1回の拭き掃除で駆除可能なレベルです。

吉川 翠

どのような環境でダニは増えやすいのでしょうか。

ダニは高温多湿が大好きで、室温20~30度、湿度60~80%が好適です。湿度が80%を超えるとカビが増えてしまうので、ダニは生息しにくくなります。ですから、7~9月はダニがとても増えます。そして暗い場所を好むことから、枕や絨毯のなかはダニにとって住みやすい環境といえますね。

1980年代頃までに、日本の住宅が窓サッシなどを採用した高気密住宅になったときはダニが増えました。室内に湿気がこもるからです。調査をすると壁がカビたり結露が多い1階の北部屋などではダニが多く見つかりました。

そうすると、日本の夏はダニの生息にピッタリですね。どのような対策がありますか。

夏には対処法を用います。本格的な対策は冬です。
温湿度が下がる冬になるとダニはあまり活動しなくなるので、繁殖力が低下しているこのチャンスを生かして、寒い時期に駆除をしましょう。

シーツや枕カバーは洗濯することでダニの糞を洗い流せます。糞は水溶性のため、90%以上は落とせるでしょう。
餌となるフケを寝具に残さなければダニを減らすことができます。そこで枕とその周辺にタオルを被せてこれを毎日交換するとフケを掃除できます。また生きているダニはタオルのような布地を好みます。タオル交換でダニを効率的に駆除することもできます。
布団の種類では羽毛や羊毛がおすすめです。綿布団よりも側生地の目が細かいので、ダニが布団のなかに入り込むのを防いでくれます。

そして羽毛や羊毛布団であれば簡単な掃除機掛けでも4~5割ほどの糞を除去できるでしょう。実験では布団表面を1㎡あたり5分×2回の掃除機かけをすることで7割以上を除去できました。ダニが綿の中に入り込みやすい綿布団の場合は、掃除機だけでは充分に糞を除去できません。そのため年に1~2回は洗濯業者で丸洗いすることをおすすめします。

使っていない布団をビニールの収納袋に入れて押し入れや屋根裏収納に仕舞っておくとダニが大発生するかもしれません。密閉したことで結露が発生し高温多湿になり、ダニには最適の環境になってしまうからです。

住宅タイプ別ダニ分布図

ダニ退治は洗濯や掃除が大変ですね。もっと簡単に駆除する方法はありませんか。

じつはそれがあるのです。家屋内をダニが繁殖できない湿度に保てば、生息数を大幅に減らすことができます。湿度50%以下を2週間維持することでダニをほぼ死滅させられます。それが可能なのが高気密・高断熱・換気システムの住宅(上図の新タイプ住宅)です。この高機能住宅に引っ越したとき、これまで使っていたダニの棲んでいる布団を持ち込んだとします。それでも2週間たてばほとんど死滅してしまうでしょう。

高気密・高断熱・換気システムの住宅では、家まるごとで環境を整えられるためダニ対策にはピッタリです。ダニの生息数が従来の住宅より1/10以下になるという報告もあるほどです。

ダニの繁殖を予防できる住宅の構造やインテリアはありますか。

床材はフローリング等がいいですね。絨毯はダニにとって絶好の住みかとなります。そのため絨毯を床全面に敷きつめることを避けた方がいいでしょう。もし使うなら時々洗えるサイズにしましょう。

間取りは広めだと換気もしやすくなります。また南北を仕切らないことで北部屋の結露を減らせます。
ベッドのある寝室はダニが繁殖しやすいお部屋です。そこで、寝室は南部屋にして湿度が高くならないようにすることがおすすめです。

吉川 翠

住環境で気をつけたいことはありますか。

部屋ごとではなく住宅全体でダニの住みにくい環境をつくることがポイントです。部屋ごとに寒暖差があると、寒い部屋の湿度は高くなってしまい、そこにダニが繁殖しやすくなります。とくに気密性だけが高い住宅では結露ができやすいので、冬でもチリダニの発生が続きます。さらに断熱性が充分でない住宅の寒さ対策で絨毯を敷くと、そこでもダニが発生するでしょう。

ペットを飼うとお部屋のダニは増えるのでしょうか。

私も猫を飼っているので気になります。そこで犬や猫を飼っているお家でダニやダニの糞について調べたところ、ペットを飼っていることでダニが増えるといったことはなさそうだと分かりました。それどころかペットを飼っているお家のほうがダニは少なかったのです。その理由は、(1)体毛が落ちるので頻繁に掃除機をかける、(2)ペットの毛が付きにくい床材のお部屋が多く、絨毯も敷いていない、(3)旅行などで長期間の留守をすると家を締め切ることで高温多湿になりダニは大発生しやすくなります。しかしペットを飼っていると旅行に出掛けにくいのでダニも少ないといったことが考えられます。

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